ウエストロー・ジャパン

 

次世代の弁護士業界を担う皆様へ

法律事務所アルシエン
共同代表弁護士 木村俊将

皆様、こんにちは。私は新60期の弁護士ですが、インハウスロイヤー(企業内弁護士)を経験したのちに独立した、というやや変わった経歴をもっています。
この変わった経歴ゆえに皆様にとって有益なメッセージが残せるのではないか、と本稿を執筆させていただくことになりました。何かしら皆様のご参考になれば幸いです。

弁護士の大増員時代を迎え、これから法曹(特に弁護士)を目指す皆様の中には将来に不安を感じてらっしゃる方も多いと思います。
私もその一人でした。もともと、将来は独立して自由に仕事をしたいという想いが強かったのですが、司法修習中、「弁護士資格を取得したのはいいけど、就職先はあるのだろうか、将来独立しても仕事は来るのだろうか」などと強い不安を感じておりました。

幸運にも司法修習中に法律事務所への就職の内定をいただいていたのですが、これからの時代を生き抜くためには、「○○のことなら木村」と言われるような、エッジの利いた専門性をもつことがカギだと考え、企業で経験を積むことも選択肢として残しておりました。
インハウスロイヤーとしての勤務先として、証券・銀行・商事などが人気でしたが、将来独立したときに有利になりそうな業種を探しました。最終的には縁のあった銀行系の不動産会社の法務部に勤務する道を選びました。

不動産業は、民法や借地借家法など今まで勉強した法律知識を活かした仕事ができ、何よりマーケットが大きいことが魅力でした。会社では来る日も来る日も不動産に関する法律相談対応に明け暮れていました。案件の初期段階から関わって取引をサポートする業務や事後的な紛争対応業務など、貴重な経験を積むことができました。

入社当初から「3年で独立しよう」と決めていましたので、ちょうど3年でその会社を退職し、虎ノ門で事務所を開設しました。独立後は、「不動産業界出身の弁護士」という特色を出して、不動産事業者やオーナー向けにリーガルサービスを提供しています。この業界出身ならではサービスも複数開発して積極的に展開しています。

インハウスロイヤーという選択肢が独立への近道とは到底思えませんし、一般的にお勧めの道とも言えません。あくまで私のような弁護士もいるということをご参考に、視野を広く、発想を柔軟に、皆様ならではの道を切り開いてゆかれることを願っております。
「メンタルタフネス」と「パイオニア精神」が成熟したマーケットで道を切り開くキーワードです。近い将来、法曹の世界で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

法律事務所アルシエン   http://www.alcien.jp/