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第27回 中国意匠登録出願における図面数の要件

中国国際貿易促進委員会 特許商標事務所*1
弁理士 郭小軍

EUの意匠登録出願と違って、中国の意匠登録出願時の図面の数については、当該意匠出願の対象を明瞭に表示するように、必要最低条件が付けられている。図面の数が足りない場合は、拒絶査定されるおそれがある。

出願日に提出した、出願番号が200530138474.4である中国意匠登録出願において、出願人はランプの正面を表す正面図のみ提出した。予備審査を経て、国家知的財産権局は、本出願が特許法実施細則第二条第三項の規定を満たさないことを理由に、拒絶査定の決定を下した。

拒絶査定の詳しい理由は、次の通りである。 登録しようとする意匠は立体物品であるが、出願人より正面投影図面、即ち、正面図しか提出されなかった。当該物品の一面しか表していないため、一つの図面から物品の全体の立体像の意匠が判断できるどころか、当該物品の当該面の詳しい外観さえ判断できない。そのため、当該図面に表した内容は完全な立体物品を構成することができない。 従って、本出願は、特許法実施細則第二条第三項の規定を満たさない。

出願人は拒絶理由通知書に応答したが、本出願は、国家知的財産権局に上記理由で拒絶査定された。出願人が上記拒絶査定を不服とし、特許審判委員会に審判を請求した。審判請求人の理由は、次のとおりである。

1) 出願日に提出した図面は本願の登録しようとする意匠を十分に表している。前記ランプの他の部分は通常見えない部分であり、かつ、登録しようとする部分ではない。

2) 一つの意匠が一つの完全な物品に依存するのは普通であるが、当該物品の三次元を一義的に確定する必要がない。

国家知的財産権局に拒絶査定されることを避けるために、審判請求人は審判請求を提出する際に、一つの立体図面を提出したが、審判段階において、追加したその立体図面は審判委員会に却下された。当該立体図は出願日に提出した図面にはない内容を示していたからだ。その後、審判請求人は上記立体図を取り下げた。

審判委員会は、《審判通知書》において、さらに、以下のように指摘した。 「本出願は、出願日にて正面図しか提出されなかった。しかも、当該図面は物品の二次元、即ち、長方形外形、内部の矩形、円形模様を表していた。これは通常の「ランプ」の立体図と甚だしく違っている。出願人が出願願書に登録しようとする意匠物品を「ランプ」と明記した以上、当該図面は登録しようとする物品を明瞭に表してはいないと考える。

出願書類を認めてもらうために、審判請求人は当該意匠物品の名称を「ランプパネル」に変更すると共に、当該意匠物品は平面物品であると声明した。審判委員会は、当該補正文を対象に、国家知的財産権局による拒絶査定を取り消す決定を下した。

特許法実施細則第二条第三項によると、特許法にいう意匠とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合によって与えられた美観に富み、工業に利用可能な新規デザインのことをいう。 審査ガイドライン第一部分第三章第4.2節により、出願人は意匠物品に関して、登録対象を明確にするために、登録しようとする内容に関する図面を提出しなければならない。

立体物品に関しては、意匠ポイントが六面に関わっている場合、六面投影図(六面図)を提出しなければならない。意匠ポイントが一つの面又は複数の面に関わっている場合、少なくともそれが関わる面の正面投影図(正面図)と斜視図を提出しなければならない。平面物品に関しては、意匠ポイントが一つの面に関わっている場合、当該面の正面投影図(正面図)だけを提出すればよいことになっているが、意匠ポイントが2つの面に関わっている場合は、当該両面の正面投影図(正面図)を提出すべきなのである。

EU出願優先権においては、一つの正面投影図しか要求記載されていなかったため、出願人は、当初の開示範囲を超えてしまうことで権利喪失になることを恐れて、国家知的財産権局に図面を一つしか提出しなかった。しかし、本出願の関わる意匠、即ち、ランプは立体物品であるため、上記規定により、少なくとも、それが関わる面の正面投影図(正面図)及び斜視図を提出しなければならなかったのだ。

本出願の審査要件を満たすように、出願人は物品名称を「ランプパネル」に変更した。これによって、当該出願は平面物品とみなされるため、図面は一つで十分なのである。本件において、正面図に示した長方形及び円形は図案であり、立体図ではないため、出願人の最初の登録内容と異なっているのはいうまでもない。

意匠登録出願に関する中国の特許法の規定により、図面の数には上限がないが、上記のように、立体物品の場合、少なくとも正面投影図(正面図)と斜視図が必要である。審判委員会による審判決定もこれを証明した。

(掲載日 2008年9月15日)

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