各国法情報オンラインサービス
Westlaw Japan(日本)
Westlaw Japan
法令アラートセンター
『法改正検知ツール「法令アラートセンター」を活用したグループ会社全体コンプライアンス推進体制の構築のご紹介』
条例アラート
カスタマーケーススタディ
圧倒的な判例数の豊富さで<Westlaw Japan>製品を導入。
高度な紛争処理を行う実務家にとって不可欠なツール。
部署単位で、関係する法令改正をアラート。
『法令アラートセンター』は、法務課の業務改善に貢献。
WestlawNext(Westlaw Classic)
Westlaw Asia(アジア)
Westlaw Middle East(アラブ諸国)
Westlaw Japan Academic Suite
Le Doctrinal(フランス)
法的調査ソリューション
Practical Law
Practical Law
Dynamic Tool Set
カスタマーケーススタディ
英文契約書のドラフティングに革新
〈Practical Law〉はスペシャリティを高める教材としても活用できる
Data Privacy Advisor
Regulatory Intelligence
契約書レビューソリューション
LeCHECK
契約書作成・管理ソリューション
Drafting Assistant
法律業務管理ソリューション
HIGH Q
Legal Tracker
国際貿易管理ソリューション
Denied Party Screening
Global Trade Content
TMI総合法律事務所
弁理士 佐藤 俊司
日々、商標実務に携わっていると、不使用商標に苦しめられることが少なくない。例えば、商標調査の段階で類似する先行登録商標を発見した場合、たとえそれが不使用であったとしても、不使用取消審判請求の手間を考えて、あえて別の商標を選択することも多い。また、出願後に不使用商標を引用されて拒絶された場合、使用調査や不使用取消審判請求など、不使用商標の存在により、後願商標の出願人は、多大な労力を強いられることになる。このように、大量に存在する不使用商標の存在は、商標を出願しようとする者の選択の幅を大きく狭めており、不使用取消審判の活性化は喫緊の課題と言える。
しかし、不使用取消審判の請求数は、毎年1,600件程度であり、未だ積極的に利用されているとは言えない。これは、審判請求の印紙代が1区分につき55,000円(2区分目以降は40,000円)と、高額な点が大きな一因である。特に、書換登録された登録商標に対して不使用取消審判を請求する場合には、以前は1区分の費用で取消審判の請求が可能であったにもかかわらず、書換登録がされたことによって、複数区分への取消審判が必要となってしまったため、類似群コードによっては、審判請求の印紙代だけで非常に大きな金額となってしまっている。
例えば、第25類に属する「ネクタイ」について商標を取りたい場合、もし類似する先行登録商標が書換登録されたものである場合には、第25類の抵触商品のみならず、「ネクタイ」と同じ類似群コード【17A04】を共通にする、その他の6区分に分散した指定商品※1のすべてを取消さなければならないが、その場合、7区分についての審判請求の印紙代が、29万5,000円※2もかかってしまう。同様に、第28類に属する「運動用具」について商標を取りたい場合、もし類似する先行登録商標が書換登録されたものである場合には、第28類の抵触商品のみならず、「運動用具」と同じ類似群コード【24C01】を共通にする、その他の9区分に分散した指定商品※3のすべてを取消さなければならず、その場合、10区分についての審判請求の印紙代が、41万5,000円もかかってしまう。
書換登録された登録商標に対する不使用取消審判の印紙代については、従来は、55,000円で済んだものが、実質上の権利範囲が変わっていないにもかかわらず、区分単位で印紙代が計算される結果、非常に高額となっている現状は、常識から考えてもおかしい。かかる不使用取消審判の印紙代の高さによって、不使用取消審判請求自体を断念せざるを得ないことも多く、本来、不使用取消審判は不使用商標を減らすための制度であるにもかかわらず、不使用商標を減らすことが抑制される結果となっては、本末転倒である。
平成22年9月15日に公表された「特許行政年次報告書2010年版※4」によれば、過去6年の取消審判の成功率は平均83.6%となっている。このうちの大半の商標が商標権者より答弁もなく取消されている現状において、例えば「ネクタイ」の商標を取るために30万円もの印紙代、「運動用具」の商標を取るために40万円もの印紙代を払わなければならない現状の不使用取消審判は、とてもユーザーフレンドリーとは言えないだろう。
例えば、書換登録がなされた登録商標に対して不使用取消審判を請求する場合の印紙代は、区分ではなく類似群コードを基準とすることや、また、使用の有無の判断という実体的な審理がされずに取消審決がなされたものについては印紙代を適正な額に減額するなど、不使用取消審判請求の印紙代については、その活性化のためにも、より実態に即した金額にするべきである。
特に、平成20年6月1日以降、出願・登録時、更新申請時の印紙代が大幅に減額されたことにより、更新申請時の印紙代の負担も低くなったため※5、更新申請時に使用・不使用を判断して、不使用商標を整理するインセンティブが効きにくくなっており、不使用商標の安易な更新が増えているものと思われる。しかしながら、実際にその商標を使用してビジネスを行っている場合、そもそも10年間で15万1,000円(15,100円/年間)という更新時の印紙代は、決して高くはなかったと考えられ、本来であれば、更新時の印紙代の減額よりも、むしろ上記のような不使用取消判請求の印紙代の適正化が検討されるべきであったと言える。
更新時の印紙代が大幅に減額された以上、今後も不使用商標の安易な更新も増える可能性があることから、不使用取消審判の印紙代についても、その実態に合わせて減額等、適正化し、よりユーザーに利用しやすい不使用取消審判となることが望まれる。
(掲載日 2010年12月13日)