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森・濱田松本法律事務所※
パートナー弁護士・青山学院大学法科大学院客員教授
小野寺 良文
長年にわたって議論されてきたヨーロッパ統一特許制度が、早ければ2014年にも導入される見込みとなった。
欧州理事会(European Council: EUの政治レベルの最高協議機関。EU加盟国の首脳及び欧州理事会議長により構成)は、2012 年6月29日、ヨーロッパ統一特許制度導入に向けて、残された大きな政治的議題であった統一特許裁判所(UPC: Unified Patent Court)の設置方法について、第一審裁判所(Court of First Instance)の本部をパリに設置すること、ロンドンとミュンヘンに同裁判所の支部を設置すること、及び同裁判所の長官はパリに拠点を置くことに合意した(今のところイタリアとスペインは不参加)。ヨーロッパ統一特許制度に関する2つのEUの規則案は、今後、欧州議会(Europea Parliament)の議決を経た上で、早ければ2014年にも発効することになる※1。
この新制度の最大の特徴は、
①単一かつ共通の出願手続・審査手続により、発効した国全てにおいて効力を有するヨーロッパ統一特許の取得が可能となること
②統一特許裁判所の専属管轄の下で、発効した国全てでの特許権侵害の有無及び有効・無効の判断が単一の裁判手続によって一度に判断されること
である。ご承知のとおり、特許制度は、本来、自国の産業を保護・発展させるための制度であり、これまで属国主義を原則としてきた。パリ条約、PCT、欧州特許条約等でハーモナイゼーションが図られているが、特許の付与、侵害有無については、あくまで各国の主権(特許庁及び裁判所の判断)に委ねられてきた。これに対して、今回の新制度は、EU全体で、出願、審査、侵害や有効・無効の判断全てを統一する制度であり、これまで類がなく、画期的である。
これにより、欧州での特許権取得及び権利行使の手続が大幅に簡素化され、かつそのための費用も大幅に減少することが期待される。大雑把にいって、欧州全域(批准国の数にもよるがアメリカの市場よりも遥かに大きい市場規模である)での権利行使が1つの裁判所で1回の手続きで行えるようになるため、当事者にとっては、勝っても負けてもそのインパクトは非常に大きく、ヨーロッパ統一特許の重要性は大きくなものになるだろう。
ヨーロッパにおける出願及び権利行使の実務が大きく変化することになるため、今度の動向から目が離せないし(但し、経過措置があり、当面の間、現在の制度も併用される。)、何より欧州での強力な特許制度の誕生が、アジア等他の地域でもさらなるハーモナイゼーションを促し、相互連携を加速させると思う。特許制度でも強力なホームフィールドアドバンテージを得るためには、国際競争が必要なようだ。
(掲載日 2012年11月19日)
次回のコラムは12月3日(月)に掲載いたします。