民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律
平成30年 7月13日 法律 第72号

家事事件手続法
平成23年 5月25日 法律 第52号

施行日:平成31年 7月〈未確定〉
改正前 改正後
目次
第一編 〔省略〕
第二編 家事審判に関する手続
第一章 〔省略〕
第二章 家事審判事件
第一節-第十八節 〔省略〕
◆追加◆
第十九節-第二十七節 〔省略〕
第三編-第五編 〔省略〕
附則
目次
第一編 〔省略〕
第二編 家事審判に関する手続
第一章 〔省略〕
第二章 家事審判事件
第一節-第十八節 〔省略〕
第十八節の二  特別の寄与に関する審判事件 (第二百十六条の二-第二百十六条の五)
第十九節-第二十七節 〔省略〕
第三編-第五編 〔省略〕
附則
(遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分)
第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項 ◆追加◆において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。
2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
◆追加◆
 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。
(遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分)
第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項 及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。
2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
  前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。
 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。
(遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分)
第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、 相続人の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。
2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
(遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分)
第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、 遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。
2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 遺留分を算定する ◆追加◆場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地
二 遺留分の放棄についての許可の審判事件(別表第一の百十の項の事項についての審判事件をいう。) 被相続人の住所地
2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 遺留分を算定する ための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地
二 遺留分の放棄についての許可の審判事件(別表第一の百十の項の事項についての審判事件をいう。) 被相続人の住所地
2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
◆追加◆
第十八節の二   特別の寄与に関する審判事件
◆追加◆
(管轄)
第二百十六条の二   特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
◆追加◆
(給付命令)
第二百十六条の三   家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。
◆追加◆
(即時抗告)
第二百十六条の四   次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
  特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方
  特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人
◆追加◆
(特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分)
第二百十六条の五   家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
第二百三十三条 請求すべき按(あん)分割合に関する処分の審判事件( 別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。
第二百三十三条 請求すべき按(あん)分割合に関する処分の審判事件( 別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。
第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件( 別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。
4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。
5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。
6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人
二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人
三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方
第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件( 別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。
4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。
5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。
6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人
二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人
三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方
別表第一 (第三十九条、第百十六条―第百十八条、第百二十八条、第百二十九条、第百三十六条、第百三十七条、第百四十五条、第百四十八条―第百五十条、第百五十九条―第百六十二条、第百六十四条、第百六十五条、第百六十七条、第百六十八条、第百七十六条、第百七十七条、第百八十二条、第百八十八条、第百八十九条、第二百一条―第二百三条、第二百九条、第二百十六条、第二百十七条、第二百二十五条―第二百二十七条、第二百三十二条、第二百三十四条、第二百四十条―第二百四十四条関係)
事項 根拠となる法律の規定
〔中略〕
遺留分
百九 遺留分を算定する ◆追加◆場合における鑑定人の選任 民法 第千二十九条第二項
百十 遺留分の放棄についての許可 民法 第千四十三条第一項
〔後略〕
別表第一 (第三十九条、第百十六条―第百十八条、第百二十八条、第百二十九条、第百三十六条、第百三十七条、第百四十五条、第百四十八条―第百五十条、第百五十九条―第百六十二条、第百六十四条、第百六十五条、第百六十七条、第百六十八条、第百七十六条、第百七十七条、第百八十二条、第百八十八条、第百八十九条、第二百一条―第二百三条、第二百九条、第二百十六条、第二百十七条、第二百二十五条―第二百二十七条、第二百三十二条、第二百三十四条、第二百四十条―第二百四十四条関係)
事項 根拠となる法律の規定
〔中略〕
遺留分
百九 遺留分を算定する ための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任 民法 第千四十三条第二項
百十 遺留分の放棄についての許可 民法 第千四十九条第一項
〔後略〕
別表第二 (第二十条、第二十五条、第三十九条、第四十条、第六十六条―第七十一条、第八十二条、第八十九条、第九十条、第九十二条、第百五十条、第百六十三条、第百六十七条、第百六十八条、第百八十二条、第百九十条、第百九十一条、第百九十七条、第二百三十三条、第二百四十条、第二百四十五条、第二百五十二条、第二百六十八条、第二百七十二条、第二百八十六条、第二百八十七条、附則第五条関係)
事項 根拠となる法律の規定
〔中略〕
厚生年金保険法
十五 請求すべき按(あん)分割合に関する処分 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項
生活保護法等
十六 扶養義務者の負担すべき費用額の確定 生活保護法第七十七条第二項(ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成二十年法律第八十二号)第二十一条第二項において準用する場合を含む。)
別表第二 (第二十条、第二十五条、第三十九条、第四十条、第六十六条―第七十一条、第八十二条、第八十九条、第九十条、第九十二条、第百五十条、第百六十三条、第百六十七条、第百六十八条、第百八十二条、第百九十条、第百九十一条、第百九十七条、第二百三十三条、第二百四十条、第二百四十五条、第二百五十二条、第二百六十八条、第二百七十二条、第二百八十六条、第二百八十七条、附則第五条関係)
事項 根拠となる法律の規定
〔中略〕
特別の寄与
十五 特別の寄与に関する処分 民法第千五十条第二項
厚生年金保険法
十六 請求すべき按(あん)分割合に関する処分 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項
生活保護法等
十七 扶養義務者の負担すべき費用額の確定 生活保護法第七十七条第二項(ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成二十年法律第八十二号)第二十一条第二項において準用する場合を含む。)

施行日:平成31年10月〈未確定〉
改正前 改正後
(相続に関する審判事件の管轄権)
第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から 十四の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。
3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存又は管理に関する処分の審判事件(同表の九十の項の事項についての審判事件をいう。第二百一条第十項において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の管理人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。) ◆追加◆の申立てをすることができるかについて定めることができる。
5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。
(相続に関する審判事件の管轄権)
第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から 十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。
3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存又は管理に関する処分の審判事件(同表の九十の項の事項についての審判事件をいう。第二百一条第十項において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の管理人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。) 及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。
5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。
(特別の事情による申立ての却下)
第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件 ◆追加◆について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。
(特別の事情による申立ての却下)
第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件 又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。


民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律 改正附則
平成30年7月13日 法律 第72号

改正前 改正後
◆追加◆ 附 則(平成三〇・七・一三法七二)抄
◆追加◆
(施行期日)
第一条   この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
  附則〔中略〕第三十一条の規定 公布の日
  〔省略〕
  〔省略〕
  〔省略〕
  第三条中家事事件手続法第三条の十一及び第三条の十四の改正規定並びに附則第十一条第一項の規定 人事訴訟法等の一部を改正する法律(平成三十年法律第二十号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
◆追加◆
(家事事件手続法の一部改正に伴う経過措置)
第十一条   第三条の規定による改正後の家事事件手続法(以下「新家事事件手続法」という。)第三条の十一第四項の規定は、附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日前にした特定の国の裁判所に特別の寄与に関する処分の審判事件(新家事事件手続法別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)の申立てをすることができる旨の合意については、適用しない。
  施行日から第三号施行日の前日までの間における新家事事件手続法第二百条第三項の規定の適用については、同項中「民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権」とあるのは、「預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権」とする。
◆追加◆
(家事事件手続法の一部改正に伴う調整規定)
第十二条   施行日が人事訴訟法等の一部を改正する法律の施行の日前となる場合には、同日の前日までの間における新家事事件手続法第二百十六条の二及び別表第二の規定の適用については、同条中「審判事件」とあるのは「審判事件(別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)」と、同表中「第百九十七条」とあるのは「第百九十七条、第二百十六条の二」とする。
◆追加◆
(政令への委任)
第三十一条   この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。