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文献番号 2019WLJCC019
日本大学大学院法務研究科 教授
前田 雅英
Ⅰ 判例のポイント
いわゆる「大崎事件」の第3次の再審請求に対して、最高裁は、鑑定等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとして再審開始の決定をした原々決定及び結論においてこれを是認した原決定にはいずれも刑訴法435条6号の解釈適用を誤った違法があるとした。
再審開始の決定をした鹿児島地決平成29年6月28日※2 及び、結論においてこれを支持した福岡高宮崎支決平成30年3月12日※3が存在するにもかかわらず、最高裁がその結論を覆したので、「最高裁が、原審・原々審の再審開始判断をはじめて覆したもの」としてマスコミなどでも大きく取り扱われた判例である。白鳥決定以来の「再審における疑わしきは被告人の利益に」という原則が揺らぐのではなどの指摘も見られたが、本決定の詳細な判示は、十分に説得性のあるものと思われる。
Ⅱ 事実の概要
Ⅲ 判旨
最高裁は、確定判決が、客観的状況から推認できる事実とA、B及びDの各自白並びにEの目撃供述があいまって犯行に至る経緯及び罪となるべき事実を認定したとし、今次再審請求に関する原決定が、M・N新鑑定はEの供述の信用性に影響を及ぼすものではないと判断した点は是認できるとした上で ※8、O鑑定の証明力についてCの死因又は死亡時期に関する認定に決定的な証明力を有するものとまではいえないと判示し、これが無罪を言い渡すべき明らかな証拠といえるか否かは、その立証命題に関連する他の証拠それぞれの証明力を踏まえ、これらと対比しながら検討すべきとした。
まず、O鑑定によってI旧鑑定が信用性を否定されたとしても、そのことから直ちに確定判決の頸部圧迫による窒息死との認定に合理的疑いを生じさせる関係にはないとした原決定は、合理的であるとした。その上で、一方で、I旧鑑定以外の確定判決を支える証拠に対し、「O鑑定が、Cの死因又は死亡時期との関係で合理的疑いを生じさせる」とした原決定は、誤りであるとしたのである。
第一小法廷は、「原決定が、…O鑑定を根拠としてG及びHの各供述が信用し難いとし、A、B及びDの各自白の信用性に重大な疑義が生ずることになるなどとした点は、O鑑定の問題点やそれに起因する証明力の限界を十分に考慮しないまま、確定判決を支える証拠の証明力について吟味することなく、O鑑定を決定的な意味を持つ証拠であると過大に評価し、実質的な総合評価を行わずに結論を導いたもので、不合理であるといわざるを得ない。O鑑定は、確定判決の事実認定について合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠とはいえない。」と判示し、「以上の検討を踏まえると、O鑑定にM・N新鑑定を含むその余の新証拠を併せ考慮してみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえない。したがって、O鑑定が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原決定の判断には刑訴法435条6号の解釈適用を誤った違法があり、O鑑定及びM・N新鑑定がそのような証拠に当たるとした原々決定の判断にも同様の違法があるといわざるを得」ないとした。
Ⅳ コメント
(掲載日 2019年7月18日)