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大東文化大学・東海大学・國學院大學 非常勤講師
税理士 佐々木 雄一
チリは、南米諸国の中でも堅実な経済運営で知られている。1980年代の中南米金融危機の際には、メキシコとチリが他国に先んじて危機を脱し、他国のモデルとされた。チリは、自由市場経済化して、国営企業を民営化し、優位性のある産業を育成して輸出を拡大した。その後も貿易自由化には熱心に取り組んでおり、多くの国々との間で自由貿易協定、経済連携協定や経済補完協定を締結している。
多国間協定では、WTO(世界貿易機関)に1995年1月の発足時に加盟している。地域協定ではALADI(ラテンアメリカ共同体)に1981年に加盟、MERCOSUR(南米共同市場)に1996年に準加盟、CAN(アンデス共同体)に1969年に加盟後、1976年よりオブザーバー加盟国、2006年より準加盟国となっている。1989年に発足したAPEC(アジア太平洋経済協力)には1994年に加盟した。さらに、今話題のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を2006年5月にシンガポール、ブルネイ、ニュージーランドとの4か国で発足させている。また、2010年5月にはOECD(経済協力機構)に南米からは初めて加盟し先進国の仲間入りしている(中南米ではメキシコに次いで二番目となる)。
チリの主な輸出品は、銅ほかの鉱産物、ワイン、ぶどうほかの果実、魚類、木材などで、輸入品は、原油、自動車ほかの機械類、金属製品などである。輸出は一次産品が多く、工業製品は輸入に頼っていることがわかる。対チリの外国投資は鉱業分野を中心に、インフラ、通信、物流、金融部門などに投資されている。投資国はアメリカ合衆国、スペイン、カナダが上位を占める。チリからの外国投資はやはりアメリカ合衆国、スペイン、カナダ向けが多く、産業部門ではインフラ、金融をはじめ近年は各分野に多様化している。チリは、かつては他の南米諸国と同様に輸入代替工業化政策を採用し、輸入を制限し国産工業製品の生産に注力したが、現在では国内の工業化にはさほど執着していない。
特徴的なのは、外国投資を誘致するための優遇税制(チリ所得税法41D条)である。外国資本がチリ国内に設立した一定の要件を満たす会社(会社に投資している外国投資家も同様に扱われる)は、第三国への投資に関する所得についてはチリの所得税は免税とされ、チリ国内での所得(いわゆる国内源泉所得)についてのみ納税義務を負う。チリを南米諸国向け投資の拠点とする方策である。大国でもなく資源に恵まれているわけでもないチリは、他の南米諸国に比べると、国家の将来の発展を見据えた政策を積極的に展開している。
(掲載日 2010年11月22日)