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東海大学法学部教授
西山 由美
消費税について議論するある会合で次のような質問を受けた。
「ところで、日本の消費税は諸外国に比べて良いところはないのですか。」
常日ごろ、EU付加価値税との比較において日本の制度の問題点ばかりを取り上げてきたことを省みて、日本の制度をEUにアピールできるところはないか考えてみた。日本の消費税の強みは、相対的に低い税率の単一構造であることから、税収効率(いわゆるvalue-added tax revenue ratio)が高いことと、脱税スキームがさほど巧妙でないということであろうか。しかし、今後の税率構造次第ではどうなるかわからない。
現在、ウィーン経済大学ミヒャエル・ラング教授が中心となって進められている、世界各国の付加価値税(消費税)制度の調査プロジェクトに加わっているが、日本の制度に対する質問事項に回答できないことがとても多い。たとえば「課税事業者番号はどのように付番されているか」(日本に課税事業者番号はない)。「電子インボスは認められているか」(日本はインボイス制度をとっていない)。「(納税しない事業者に代替してその取引相手が納付責任を負う)リバースチャージはどのように機能しているか」(これについては、日本ではまだ十分に議論されていない)。日本の消費税は、EUが前提とする付加価値税の必須アイテムの多くを欠いているのだ。
国税庁統計年報によれば、平成21年度の消費税収は初めて法人税収を抜き、国税収入全体に占める割合が25.3%、今や所得税に次ぐ第二の基幹税である。しかしその一方、滞納税額については、同年の新規滞納税額が3742億円で、全滞納税額の50%、すべての税目の中で堂々の一位である。複数税率を擁するEU諸国に比べれば課税ベースは広くて、課税段階での税収効率はいいはずなのに、納税段階で滞納が生じやすいのである。EUではインボイスを用いて、原則として毎月申告納税をしている(ドイツではこの予定申告を電子で行わなければならない)こととの比較において、原因が究明できるのではないかとみている。ただし、日本の商習慣にはない、EU型のインボイス導入は難しいとも考えている。
課税事業者番号はなくても、インボイスはなくても、日本は独自の消費税制度を構築し、この基幹税を目的税としていくのか。しかしヨーロッパが100年かけて構築してきた制度ですら、いまだ完成されていないというのに、日本はこれから新規構築というのは無理だ。ちなみに、昨年秋に出されたイギリスの税制報告書『マーリーズ・レビュー』の第2巻(Tax by Design)では、基幹税の目的税化を「意味のないレトリック」としている。目的税化の議論は、選挙民(納税者)を誤った方向に導くものであるとし、税の使途の限定よりも支出金額の規律のほうが重要だとする。同感である。
(掲載日 2012年2月6日)