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青山学院大学法務研究科(法科大学院)教授※1
弁護士法人 早稲田大学リーガル・クリニック※2
浜辺 陽一郎
最近の司法修習生の修了生の就職活動に変化の兆しが現れている。2012年に研修所から羽ばたく65期生の法律事務所への就職は概ね昨年と大差はないようだが、東京では外資系事務所等、採用を減らすところもあり、弁護士事務所の採用受け入れは限界だ。そこで変わりつつあるのが、企業の採用動向である。
かつての修習生は、法律事務所への就職を優先し、企業への就職を考える修習生は少なく、就活のスタートも遅く、その意識は必ずしも企業法務に向いていなかった。ところが、新66期生は、早くから企業就職を希望する者が増加し、司法修習が始まる前に就活をスタートする者が増えた。具体的には司法試験が終わった5月から動き始めるようになる等、ようやく修習生側の意識の変化が見えてきたというのだ※3。
これを受ける企業側も、その採用時期や方法は様々だが、積極的な姿勢に変わりつつある。これまで法科大学院生の採用に消極的だった法務担当者も、「これからは法学部出身者よりも法科大学院修了生を優先的に採用していきたい」とか、「法学部卒の法務部員の採用をやめて、有資格者や法科大学院卒業生に法務部の未来を託すことにした」といった声も聞こえてきている。実際のところ、就活と称して勉強をほとんどやらなかった学部卒よりも、厳格な 成績評価を経てきた法科大学院修了生を活用しない手はないということが、ようやく理解され始めている。これが国内企業の有資格者ないし修了生採用意欲の増加となって現れてきている。
また、地方自治体においても大いにニーズがあり、法曹有資格者の活用が広がる兆しが見えてきている※4。
かくして、法科大学院開設から10周年までには、修了生が社会にスムーズに移行できるような体制が何とか整備できそうな状況になる可能性があるといえそうである。
ただ、まだまだ克服しなければならない課題も残っている。法科大学院に対する理解は法務部レベルにとどまっており、人事部門は法科大学院のことをほとんど知らない。そのため、表面的なプレゼン能力や面接でうまく対応できない法科大学院組は簡単には就職できないようなケースが多いという。司法試験に合格しても、積極性を欠き、面接での評価が低いというのでは企業も採用しにくい※5。こうした状況を突破していくため、就職を目指す修了生側の自己改革が求められるが、法科大学院側も企業・行政に対する人材活用の呼びかけに尽力していく必要があろう。
個別の法科大学院で修了生に対するキャリアサポートを行う支援を行うところはまだ一部に留まっているが、既に一部の法科大学院は始めている。具体的には、在学中・修了後の就活支援として、求人情報提供・説明会・就活セミナー開催などを行っている。将来的には、法科大学院の同窓会組織が就職支援にも活発に関与することが期待される。この関連で、各企業に対しては、外国大学の卒業者と同様に夏季採用枠の拡大をお願いしたいところである。
また、企業が法務部門の人材を強化していくことの意義を実感するためには、その期待に見合った貢献をする実力を備える必要がある。社会人未経験者が即戦力となるまでのハードルは高いが、せめて実務的なスキルとマインドの基本くらいは学んでおいてもらいたい。それがあってこそ、付加価値をアップするための法務部門の強化が可能となる。
このほか、制度的な見直し課題もある。司法修習生の給費制が貸与制になったことに伴い、司法試験に合格しても司法研修所に進まずに、企業や行政部門に直ちに勤務する道を選択する者が増えつつある。企業も行政も、司法研修所で教育を受けるよりも、早く実務で能力を磨く方が良いと考えている。司法研修所の法曹養成制度自体が「旧法曹三者」の養成を前提としているため必ずしも企業や官公庁などの人材ニーズを育てる機関とはなっていないので、そろそろ司法研修所制度についても再検討が必要だろう※6。
司法試験に過剰適合した修了生は、企業にも官公庁にも評価が極めて低いという。また、司法試験科目以外の先端科目を積極的に履修した法科大学院生の方が概して優秀であることから、司法試験合格率も高いという指摘もある。ただ、司法制度改革審議会が目指した「法律家」とは、法廷実務家だけではなかったはずである。司法試験がもっと実務のニーズに即した形になるのが理想ではある※7のだが、当面のところは法科大学院に設けられた企業法務科目を積極的に履修した修了生を、企業の採用においても前向きに検討することが一つの対応策として考えられよう。
企業とするならば、こうした環境変化を好機として、付加価値をアップすることができるような法務部門となるための人材強化を図るように期待したい。
(掲載日 2013年1月7日)
次回のコラムは1月21日(月)に掲載いたします。